世界ナンバーワンの巨大複合企業「エヴォルブ社」は、表向きを薬品製造企業と装い、裏では生物兵器の開発を行っている。某日、エヴォルブ社の地下生物実験施設で研究中の新型ウイルスが何者かに持ち去られた。それと同時に、施設内の試作型生物兵器が暴走し出したとの報告が入った。この二つの事件の始末を任されたエヴォルブ社の極秘作戦部隊「B.B.S.」は、早速地下施設へと向かうが……。人が人である証を失った時、異形達の慟哭と咆哮が炸裂する。
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混沌とした世界情勢。その裏側に潜む者の大半がR.B.M.であることは、既に誰もが知り得ていた。東西南北に分かれた四大国が世界を席巻する中、裏社会においても血みどろの戦いが繰り広げられていた。最新型のR.B.M.を大量に引き入れて勢力拡大を押し進める巨大マフィア「レオーネ」と、用済みまたは脱走したR.B.M.を始末する屠殺代行派遣機関「NEST」が、ついに真正面から衝突してしまった。これまで暗黙の了解として直接は手出しをしてこなかった両者が、南方の大国ブランタイアの地下深くに眠るとされる「遺産」を巡り、とうとう戦闘の意志を剥き出しにしたのであった。狩るか、狩られるか。殺るか、殺られるか。血濡れたもう一つのアポカリプスが、ここに顕現する。
千葉県にある名月町で、ある日突然、人が行方不明になるという「神隠し事件」の噂が流れていた。この噂は実際に起こりつつある怪異の一端であり、人の中に潜む別人格が具現化した「複体」の仕業である。両親の仕事の関係上引っ越すことになった高校二年生の少女・茂草新は、初めて転入先の高校に通った日の帰り道で自身の内に秘めた複体「斬雨」に遭遇する。何とか斬雨を従えることに成功した新は、更なる奇妙な出来事に巻き込まれていくことになる。
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千葉県にある名月町では、神隠し事件の他にもう一つの噂が流れていた。その名も「赤紙メール」で、赤い字面のメールを送られた者は、強制的に命懸けのサバイバルに参加させられるとのことである。更に、赤紙メールは、ある特定の条件を満たした者だけが受け取れるという。その条件とは、既に自身が有する複体の覚醒に立ち会い、彼等を従属させて複体使いとなった者のことを指している。そして、公立雨草宮高校に通う二年生の少年「神谷獅瞳」の元にも件の赤紙メールが届いた。彼もまた複体使いの一人であると同時に、異常捜査機関エルキュールが寄越したエージェントとして、名月町で起こる数々の事件を調査していたのだ。赤紙メールの指示にあっさりと従い、獅瞳も自身の複体「遺截雨」と共に、狂気と陰謀が渦巻くバトルロワイヤルに身を投じることにしたが……。
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名月町の外れにある診療所。それを営む野島愁は、かつて複体を研究する裏組織に属していた経歴を隠し持っている。組織から離反し、しがない開業医を装いながら日々を過ごしていた愁のもとに、ある時、一人の珍客が訪れてきた。彼の診療所に足を運んできたのは、遊離と名乗る謎の少女であった。彼女はこれまでの記憶を失くしてしまったために、自分の帰る場所も、自分の正体すらも理解できずにいた。仕方なく遊離を引き取ることにした愁は、早い段階から気付いていた。彼女もまた、その内側に強大な複体を秘めていることに……。
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裏社会にその名を轟かせる凄腕の殺し屋・7ヴァルチャーは、とある任務のため日本に足を踏み入れる。今回のミッションは、謎の力を操る暗殺者集団「ジャメヴス」を壊滅させること。ジャメヴスの正体は複体使いの集団であり、それぞれが強力な複体を従えた暗殺者である。常人である7ヴァルチャーには到底敵わない相手だと思われていたが、ここで更なる衝撃の事実が判明する。なんと、7ヴァルチャーは既に自らの複体を覚醒させ、それを従属させていたのだった。ネオン煌めく東京の摩天楼にて、影の複体使い達の戦いが幕を開ける。
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アメリカ最悪の街プレイスドックに、ある日本人が転がり込んできた。男の名前は水野死否。背中にハゲタカの入れ墨を刻んでいることに加え、死体を漁る猟奇的な姿から「ヴァルチャー」という異名で呼ばれるようにもなっていた。彼が海を越えてプレイスドックへ来訪した目的は二つある。一つは、かつての親分と友を殺した仇敵への復讐。もう一つは、自身にまつわる「謎」の解明。血と硝煙の悪臭が充満する腐りきった街に、飼い主のいない獰猛な猛禽の翼が翻される。